【LINE交換禁止?】X(Twitter)で話題になった福祉事業所における利用者同士の連絡先交換禁止というルールについて考える

「当事業所では利用者さん同士のLINE交換は禁止です」
「通所時にスマホを預かります」

こういった福祉事業所があることは皆さんご存知でしょうか。

最近X(Twitter)でも、この連絡先交換禁止の件で議論が大きくなっていたので、賛成派・反対派の意見を整理して、考えていってみようかと思います。

目次

賛成側の意見

1. トラブル予防のために必要
もっとも多いのは、「交換後に揉めごとが起きやすい」という現場感覚です。噂話、悪口、執着、金銭トラブル、恋愛トラブル、夜間の過剰連絡などが起きると、結局は事業所が火消し役になりやすい、という主張です。X上でも、禁止まではしなくても、強引に迫られて困っている利用者には個別に介入する、という実務的な声が見られます。

2. 判断力や境界線の弱さがある利用者を守る必要がある
賛成側は、「誰もが同じように対人トラブルをさばけるわけではない」と見ています。障害特性や精神状態によっては、断れない、相手の真意を読み違える、依存関係になりやすい、といったリスクがあり、自由放任はむしろ弱い立場の人を危険にさらす、という理屈です。

3. 事業所には安全配慮や運営責任がある
利用者間トラブルが深刻化すると、通所継続が難しくなったり、他利用者の安心感も損なわれたりします。賛成側は、個人の自由より「場の安全」を優先すべき場面があると考えます。特に就労継続支援のような集団利用の場では、秩序維持は運営上の責務だという見方です。

4. 禁止は“管理”ではなく“支援”だという考え
賛成側の感覚では、連絡先交換の制限は本人の自由を奪うためではなく、結果として本人を守るための予防的支援です。現場では、過去のトラブル事例を踏まえてルール化している場合もあり、「何も起きていないうちから線を引く」ことに意味があると考えています。

反対側の意見

1. 一律禁止は権利制限であり、過剰管理だ
反対側の中心的な主張は、「利用者同士が連絡先を交換するかどうかは本来本人の自由であり、事業所が包括的に禁じる法的根拠は薄い」というものです。実際、今回拡散された問題提起でも、「トラブルが起きるから」という支援側の都合だけで権利制限を正当化してはいけない、という論点が示されています。

2. 自己決定の尊重に反する
厚生労働省の意思決定支援ガイドラインは、障害福祉サービスにおける支援の原則を「自己決定の尊重」と位置づけています。本人の社会生活に関する選択を、本人抜きで一律に制限するのは、この原則と緊張関係にあるという指摘です。

3. 障害者だけを特別に制限するのは差別的になりうる
反対側は、「一般の学校・職場・地域活動で連絡先交換は普通に行われているのに、福祉事業所の利用者だけを一括して禁止するのは、障害のある人を未成熟な存在として扱う発想ではないか」と見ます。障害者権利条約でも、表現や情報のやり取り、地域社会への参加が重視されています。

4. 支援すべきは“禁止”ではなく“トラブル対応力”だ
反対側は、「トラブルが起きる可能性があるから禁止」ではなく、「断り方、距離の取り方、相談の仕方を支援するべきだ」と主張します。つまり、対人関係も地域生活や就労準備の一部であり、そこを学ぶ機会まで奪うのは本末転倒だ、という考えです。

ReverVとしての考え

一律禁止には疑問があるというのが正直なところです。
理由は、禁止そのものが本当に利用者の安全につながるとは限らないからです。

1. 禁止しても実効性には限界がある
たとえ事業所が「連絡先交換禁止」と決めても、実際に交換する人は見えないところで交換します。
そうなると、ルールとして掲げても現実には止めきれず、表面上だけ管理している形になりやすいです。

2. 一律禁止が事業者側の免罪符になりかねない
気になるのは、禁止ルールが「利用者を守るため」ではなく、
事業者側がトラブル発生時に責任を回避するための口実になっていないか、という点です。

つまり、
「禁止していました」
で終わってしまうと、支援者が本来向き合うべき兆候や関係性の変化を見ないままにしてしまうおそれがあります。

3. むしろ禁止しない方が早期介入しやすい面もある
連絡先交換を一律禁止にすると、利用者同士の関係は水面下に潜りやすくなります。
しかし、禁止せず、支援者が把握できる環境にしておけば、小さな違和感やトラブルの芽の段階で介入できる可能性があります。

本当に安全を重視するなら、
見えないようにすることではなく、
見える状態を保ちながら支えることが大切ではないか、と考えています。

4. 対人トラブルも支援の出発点になりうる
利用者の中には、対人関係の経験が少ない人もいます。
だからこそ、人との距離感や断り方、関係の築き方を学ぶ機会は大事です。

もちろん、トラブルが望ましいわけではありません。
ただ、現実には小さな行き違いや失敗の中から学ぶことも多く、
そこに支援が入ること自体に意味があります。

5. 傷つきやすい人がいるなら、一律禁止ではなく個別支援で考えるべき
精神疾患や特性によって、対人トラブルで強く疲弊してしまう人がいるのは事実です。
でも、だからといって全員に同じ禁止をかけるのではなく、必要な人に個別的なケアやサポートを行うべきです。

リスクがある人がいることと、全体を一律に縛ることは別問題です。

6. 結局、支援者の力量が問われる問題でもある
「些細なトラブルでも傷つく人がいる」という意見も理解できる。
ただ、その部分も含めて、支援者がどう見立て、どう支え、どう介入するかが問われているのではないか。
そこをルールだけで処理しようとするのは、支援の放棄に近い面もあるのではないか…と思います。

構造的な問題

とはいえ、ルールとして一律禁止にせざるを得ない状況もあると考えています。

障害福祉の現場においては、配置基準があり、さらには売上の上限がほぼ決まっています。
つまり人を増やすことが難しいのですよね。

その中でどこまで現場で個別的な対応が出来るのか、トラブル対応が出来るのか…非常に難しいところではあります。

なので、一律禁止することに疑問はありながらも、それを安易に否定することも出来ないなとも思っております。

まとめ

今回は、連絡先交換一律禁止に関して賛成派・反対派それぞれの意見をまとめてみました。

ReverVとしては、疑問に感じているところではありますが、選択肢として多様であることも必要だと思っています。

一律禁止されている方が安心して通えるという人もいるでしょうし、もちろんその逆もいると思います。

しっかり判断しながら利用するかどうか考えてみてくださいね。

ちなみにReverVワークスでは、そういった連絡先交換を禁止するようなルールはございません。

それでも安心して通える環境を整えていきます。

動画バージョン

陽色しなのチャンネルでも動画でお話しています。

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この記事を書いた人

NPO法人ReverV代表理事の陽色しなです。
バーチャルソーシャルワーカーとしてYouTubeでも活動中。
カフェラテが大好きで毎日2杯は飲むけど、3杯目飲むと気持ち悪くなっちゃうから気をつけてるの。

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